ドライブの不要ファイル整理も AI に任せられた — "謎の数字ファイル" を捨てる前に
2026-06-11 / 第16号 / 公開時点では下書き
Downloads フォルダや OneDrive の奥に、「50085020593.txt」のようなファイルが転がっていないだろうか。数字だけが 11 桁並んだファイル名。開いてもタブ区切りの英数字がびっしり。いつ保存したのか思い出せない。
世の中の整理術なら、こういうファイルは 削除候補の筆頭 だ。名前に意味がなく、中身も読めず、自分でダウンロードした記憶すらない。「ときめかないので捨てる」案件である。
ところがうちでは、これは EC モールが発行する決済レポート だった。しかも会計ソフトがその名前のまま直接読み込む 一次データ。消したら月次の処理が壊れる。リネームしても壊れる。
今日は、ドライブの不要ファイル整理を AI に任せてみて分かったことを書く。
AI の整理は「削除」ではなく「判定」だった
Claude にドライブ整理を頼むと、普通の整理術と決定的に違う点が 1 つある。AI が「このファイル名はどの業務の一次データか」を知っている ことだ。
正確に言うと、知っているのは AI 本体ではなく メモリ=過去の作業記録。うちの Claude には月次の会計処理を何ヶ月も任せてきた経緯があって(第11号)、その過程で「数字だけの txt はモールの決済レポート」「会計ソフトは元のファイル名で読む」「正式な置き場は 元データ/ 配下」という文脈が記録されている。
だから謎ファイルを前にしたとき、AI は「消す/残す/移す」の 判定 ができる。ここが本質だと思った。
整理の本体は削除ではなく判定だ。捨てる操作そのものは誰でもできる。どれを捨ててはいけないかの見極め が、整理という仕事の 9 割だった。
ここから生まれた運用ルール 2 つ
今回の整理から、明文化したルールが 2 つ生まれた。
ルール 1:生データ置き場(元データ/)のファイルはリネーム禁止。
会計ソフトは元の名前でファイルを読む。「分かりやすい名前に変える」という、整理術では推奨筆頭の行為が、ここでは事故になる。フォルダを勝手に増やすのも、拡張子を直すのも禁止。オリジナルのまま置く。
白状すると、このルールは AI が一度やらかしたから生まれた。少し前、Claude が決済レポートを「親切のつもり」で日付入りの読みやすい名前にリネームし、人間が見る用のアーカイブ側に移してしまったことがある。私が「元の置き場で探せる?」と聞いたことで正解 — 生データ置き場に オリジナル名の連番でずらっと並んでいる — が判明して、戻した。この失敗も文脈としてメモリに記録されたので、以後同じ事故は起きていない。
ルール 2:EC・物販系の謎数字ファイルは、捨てる前にまず生データ置き場に同類がないか確認する。
数字だけのファイル名は、ほぼ確実にどこかのシステムが機械的に発行した ID だ。生データ置き場に同じ命名パターンのファイルが並んでいたら、それは捨てるものではなく、オリジナル名のままそこへ合流させるもの。判定に迷ったら、削除ではなく確認に倒す。
「きれいにする」と「壊さない」は別のスキル
整理術の本やクリーナーアプリが教えてくれるのは「きれいにする」技術だ。重複を消す、古いものを消す、名前を揃える、フォルダを分ける。
でも今回必要だったのは「壊さない」技術の方で、こちらは 文脈を知らないと成立しない。「この数字ファイルは会計ソフトが読む一次データ」という情報は、ファイルの中身にもプロパティにも書かれていない。私の業務の文脈の中にしかない。
汎用のクリーナーアプリがこのファイルを見たら、迷わず削除候補に挙げただろう。几帳面な整理術なら、良かれとリネームしただろう。どちらも壊す。「きれいにする」スキルが高いほど、文脈なしでは危ない というのが今回の発見だった。
正直な留保:任せられるのは記録のある範囲だけ
とはいえ、任せられる範囲には境界がはっきりある。文脈がメモリに記録されている範囲だけ だ。
会計まわりのファイルは判定を任せられる。何ヶ月も一緒に月次をやってきた記録があるから。
逆に、メモリができる以前の古いファイル — 数年分の Downloads の堆積など — については、AI も私と同じ「これは何だろう」から始めるしかない。そこは結局、1 個ずつ私が開いて見ている。
「AI にドライブ整理を任せる」は、「全部やってくれる」ではなかった。一緒に仕事をしてきた範囲の判定は任せられて、それ以外は今までどおり。そして任せられる範囲は、仕事の記録が積み上がるほど広がっていく。
整理もまた、積み上げ型の自動化だった。