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月次決算が "確認するだけ" になっていた — Power Query 派が AI 集計に任せて見えたこと

2026-05-17 / 第11号 / 公開時点では下書き

第7号で「朝風呂・散歩・昼食のあいだに、Claude が Microsoft 365 を 5 ラウンド武装化していた話」を書いた。
あれは セキュリティ設定 という、Claude が世界中のドキュメントから型を知っている領域での「ほぼ自動」だった。

今日(2026-05-17)気づいたのは、同じ手触りが 会計業務 にも到達していた、ということ。「気づいた」というのが正確で、私はもう何ヶ月もこのモードで月次入力をしている。
つまり 気づかないうちに自動化が成立していた


前提:私は Power Query 派

本題の前にひとつ告白しておくと、私は Power Query と ピボットテーブルで大量の CSV を捌くのには、そこそこ自信がある 側の人間。
Amazon の全注文レポート、ヤマト運輸の請求 CSV、メルカリ Shops の売上明細、Square の決済明細。
列の意味と前処理の順序さえ決まれば、月次集計は組める。

言い換えると 「集計を AI に丸投げしなくていい」立場 から、今の自動化を作っている。これは今日の本題に効いてくる。

会計業務の現状(個人事業主・一人 EC)

うちは BASE / Qoo10 / カラーミー / Yahoo!ショッピング の 4 モール + Amazon + メルカリ Shops + Square で売っている。会計ソフトは やよいの青色申告オンライン

月次の入力ルーチンは大きく 3 つの「日」に分かれる:

月初:前月分の売上系(モール各社の精算明細・配送業者の請求・ポイント還元・共益費 など 10 タスク)
11 日:ヤフー 10 日締 + アマゾン売上+アマゾン手数料+アマゾン経由の配送料 + 弥生月次レポート DL
21 日:各種カード明細、その他継続課金系

このうち、ほぼ全部が Claude + 自作 Python ツール(yayoi_auto)+ Chrome 拡張 で自動化されている。流れはどれも同じ:

1) Claude が各サイトに既存セッションで入って明細を取得(Web 画面・PDF・API)
2) 取得した生データをアダプタで RawTxn に正規化
3) 仕訳ルール(科目・補助科目・税区分・取引先・適格情報)を YAML 1 枚 で先勝ち判定
4) 弥生の取込フォーマット(27 列・CP932・CRLF)の CSV に書き出し
5) 弥生「仕訳の取込み」に投入 → 取り込まれた行を私が確認

私の作業は (5) の確認だけ。ファイルが入ったか、金額が一次ソースと一致するか、税区分・補助科目・取引先が既存と揃っているか。
月次決算(残高推移表の Excel DL)も自動化済みで、毎月のスナップショットが OneDrive の所定フォルダに静かに積み上がっていく。

昨日の実例:11 日タスク

昨日(2026-05-16)の 11 日タスクは、こうだった。所要は実質 30 分ぐらい:

工程内容私の関与
1ヤフー 10 日締の精算明細を取得 → 売上・手数料の 2 仕訳を CSV 生成「やって」と頼む
2Amazon 全注文レポート+トランザクションレポートを DL承認ダイアログを押す
3Amazon 手数料・配送料の PDF を DL・リネーム金額を PDF 直読みで一次確認
4Amazon 売上・手数料・配送料の 3 仕訳を CSV 生成(補助科目を分けて計上)確認
5ヤフー+ Amazon の数件分をマージして弥生にインポート取込後に件数と科目を目視
6残高推移表を Excel で DL、所定フォルダに保管

「配送料の PDF を Read で開いて金額を一次確認」だけが、私の手で必須にしているチェック。
Web 画面 OCR は過去に 誤読 したことがあるので、税込総額は PDF 本文から取る、と決めている。

ついでに:今日 AI に集計を頼んでみた

今日の本題は別件。新しく届いた Amazon の全注文レポート(CP932・タブ区切り・数千行・複数ヶ月分)を Claude に渡して、月別売上を集計してくれと頼んだ。
これは 確認用の一時集計。本番仕訳は別ルートで既に入っているので、正解は私が握っている状態。先月分・最大月・たまたま 1 件しかなかった月、それぞれ「弥生上のいくら」かを言える。

3 回の往復が要った:

1 回目:Claude は item-price + item-tax + ship-price + ship-tax を全部足してきた。item-taxitem-price内包 されている数字なので、全体的に売上が約 1 割過大になった。私が「最大月の数字が違うはず」と指摘。

2 回目:今度は item-price 単独に修正。大半の月は正解になったが、送料が別建ての月(1 件しかなかった例の月)で 送料分を落としてしまった。私が「その月の正解はこの数字」と指摘。

3 回目item-price + shipping-price(送料がある月だけ加える形)に揃えて、ようやく全月正解に着地。

今日の学び:条件を揃えないと、AI 集計は危険

列名(item-price / item-tax / shipping-price)は誰が見ても同じだが、「item-price は税込か税抜か」「shipping は item-price に含まれるのか別か」 はベンダーごとに違う。Amazon JP の場合:

item-price = 商品代金(税込総額)
item-tax = うち消費税(情報のみ。足してはいけない)
shipping-price = 送料(税込・別建て、足す)

Power Query で組むときは 列の意味を自分で決めてから関数を書く ので、こういう取り違えは初期段階で潰れる。
逆に AI に「集計して」と渡すだけだと、AI は 名前から推測 するしかない。今日の 3 回往復は、まさにその推測が外れた回数。

結論はシンプル:

答えを知っているチェッカーが横にいれば、AI 集計は便利な下書き生成機になる。
答えを知らないままに「集計して」と頼むのは危ない。

今回うまく着地したのは、2026-04 と 2025-12 の正解値を私が握っていた からだった。手元に正解がない状態だったら、3 回目の集計表をそのまま信じて記事にしていたかもしれない。

会計業務の自動化が成立している条件

振り返ると、今の状態が成り立っているのは 4 つの安全装置 があるから。

1) 仕訳ルールはコード(YAML)で固定。摘要・補助科目・税区分・適格情報まで含めて、弥生の既存仕訳と完全一致する形で 1 ヶ所に書いてある。AI に「いい感じに分けて」とは絶対に頼まない。

2) 一次ソース原則。PDF が一次ソースのもの(ヤマト・Amazon 手数料・配送料)は、Web 画面の数字ではなく PDF 本文を Read tool で開いて確認する。Web OCR は誤読する。

3) 既入力チェック必須。新規仕訳を入れる前に、弥生の「仕訳の入力」で同じ摘要・取引先を検索して、二重計上を物理的に防ぐ。

4) ルールに当たらないものは「未確定」勘定で隔離。判断が要る取引は 未確定 / 未確定 の仕訳になって、私が後から手で分類する。AI の推測で勝手に科目を選ばない。

この 4 つが揃っているから「任せられる」。1 個でも欠けたら、私は怖くて月次を任せていない。第7号で M365 を任せられたのと同じ構造。

次回

来週はたぶん、第10号で揃えた 4 モールの注文オペレーション(受注 → 梱包 → 発送 → 通知)を回す話か、あるいは今日の yayoi_auto を別ドメイン(karaha.org の収支管理)に移植する話。
どっちにしろ、書く。