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月次決算、2回目で "型" になった — 新しい店舗が増えても手順が吸収した

2026-06-11 / 第12号 / 公開時点では下書き

第11号で「月次決算が "確認するだけ" になっていた」と書いた。あれが 5月17日。その2週間後の 6月1日に、5月分の月次——いまの自動化体制になってから 2回目 の月次——が来た。

1回目を終えたときの感想は「動いた」だった。2回目を終えての感想は違う。これは "型" になった。今回はその話。


1回目と2回目は何が違うか

1回目の月次は、正直に言えば「その場で組みながら走った」部分がかなりあった。手順は動いたが、手順はまだ半分くらい私の頭の中にあった。

2回目は逆で、手順書どおりに走らせて、途中で出てきた例外を手順書に書き戻す回になった。そしてこの1ヶ月、例外はちゃんと出た。

例外その1:Square の店舗が増えていた

いちばん大きな例外は Square。5月下旬に 2店舗目を開設した。対面で売る場所がひとつ増えたという、事業としてはごく普通の出来事。

問題は集計の側で、月次の Square 売上取得は 最初の1店舗を固定で見に行く作り だった。組んだ当時は店舗が1つしかなかったので、それで正しかった。そのままにしていたら、新店舗の売上は 集計から丸ごと漏れる

正直に書くと、この前提のズレに私自身は気づいていなかった。店舗を増やした本人が、自分の集計の前提を更新し忘れていた。月次前の点検で見つかって、直し方は構造から変えた:まず全店舗を列挙し、店舗ごとに決済データを取り、全部を合算する。6月1日の月次は、この改修後の手順を初めて通した回になった。新店舗はまだ開設テストの決済しか通っていないので金額の影響はほぼゼロ。だからこそ、「漏れる構造」を数字が小さいうちに潰せたのが大きい。

新ルールが2つ、手順書に入った

その1:取り込む前に、既に入っているものを見る。弥生に新しい仕訳を取り込む前に、対象月の既入力を必ず照合する。たとえばヤフーの売上は 10日締め・20日締め・末締めの 3回に分かれて計上される。どの締めまで入力済みかを見ずに取り込むと、二重計上が普通に起きる。実際、今回照合したら末締め分だけが未入力で、そこだけを追加した。「照合してから取り込む」が、手順の先頭に固定された。

その2:「保管するだけ」のデータは、決まった保管場所へ。仕訳にはしないが残しておきたい生データ(注文一覧・商品マスタ・ヤマトの運賃明細など)を、ツールの入力フォルダに置いて終わりにしていた。入力フォルダはあくまで作業用のコピー置き場で、正式な保管場所は別にある(うちでは「元データ」と呼んでいるフォルダ群)。今回から「正式な保管先に置いたか」が確認項目になった。

ついでに鉄則がひとつ増えた。ファイル名はダウンロードしたオリジナルのまま、変えない。これは失敗から来ている。気を利かせて古い命名規則に合わせてリネームして移したら、同じファイルが元の名前で既に保管されていて、重複を作ってしまった。元の名前のままなら「同名がある=二重ダウンロード」とその場で気づけたはずだった。気を利かせない方が安全な場面は、ある。

弥生への取込も型になった——最後のボタンは私が押す

月次の最終ステップは、生成した仕訳CSVを「やよいの青色申告 オンライン」に取り込むこと。ここも今回で固まった。

ひとつだけ技術的な話をすると、ブラウザのファイル選択ダイアログは、AI が直接操作できない。ファイル選択は OS 側のダイアログで、ブラウザ自動化の手が届く外側にある。そこで、ファイルの中身を base64 という文字列に変換して、ページ側のファイル入力欄へ直接注入する、という回避策を使っている。クリップボード経由の変種も含めて、うちの自動化ではもう定番の手筋になった。

そして、最後の 「インポート開始」ボタンだけは、必ず私が押す。会計帳簿への実登録は確定操作で、ここを AI に渡す理由がない。確認画面で「取り込まれる件数」「日付範囲」「取り込めない件数 = 0」を見て、私が押す。型のなかに「人間のボタン」を 1 個だけ、意図的に残してある。

21日のカード明細も、型になりつつある

月次は 1日だけでは終わらない。21日には PayPay カードの明細取込タスクがある。こちらは 5月に初めて通して、いちばん紛らわしかった点をルールとして明文化した:21日タスクで取り込むのは、前月の 1日〜末日の利用分。カードは利用した月と支払いが確定する月がずれるので、ここを文章にしておかないと、毎回頭の中で換算し直すことになる。毎回考え直す、はミスの温床だ。今月の 21日は、書いてあるものを読み返すだけで走れるはず——と書いておいて、外れたらそれも記事にする。

「型になる」とは、例外を吸収すること

2回目の月次を終えて、「型になった」の意味が自分の中で言語化できた。手順が変わらなくなったこと、ではない。新しい例外が来たときに、手順書の側がそれを吸収して、次回からは例外でなくなること。今回でいえば、店舗の追加が「全店舗を列挙して合算する」という一般則に変わり、二重計上のヒヤリが「照合してから取り込む」という先頭の 1 行に変わった。

型とは、変わらない手順のことではなく、変わり方が決まっている手順のこと。

そしてもうひとつ。この手順書は、もう私の頭の中にはない。リポジトリのドキュメントと、AI(Claude)のメモリに書いてある。6月1日の私は「5月分の月次やって」と言っただけで、締めの区別も、保管先のルールも、先に思い出したのは私ではなく AI の側だった。

きれいごとで締めないために書いておくと、全部が滑らかに回ったわけではない。ツールが生成する科目名が弥生側の科目名と 1 語ずれていて、取込のたびに手で変換する、という細かい引っかかりが何週間も残っていた(ちょうど今日、ツール側を直した)。型になっても、メンテはなくならない。型になったから、直す場所が 1 ヶ所で済むようになった——が正確なところだと思う。